Webディレクターと一緒に仕事をすることも多い「Webエンジニア(システム開発)」。
この記事では、Webディレクターにとって身近なIT系制作職「Webエンジニア」に注目し、Webエンジニア(システム開発)の仕事内容から、年収目安、キャリアパス例を調査しました。
WebエンジニアからWebディレクターになる方法についても紹介します。
目次
私たちが日ごろから利用しているWebサイトでは、ただページを閲覧するだけではなく、会員登録や検索、注文といったサービスが当たり前になっています。
ボタン一つでさまざまな情報を処理し、ユーザーが要求したアクションを返してくれる便利なシステムは、なくてはならない存在。
これらの機能を、正しく安全に提供するためには、Webエンジニアの存在が必要不可欠なのです。
今回はWebエンジニアの仕事内容や向いている人、Webエンジニアになるためのキャリアプランなどについてまとめながら、その全貌を解説していきます。
Webエンジニアは、WebサイトやECサイト、スマホサイト上で動作するシステムを設計・開発・運用・保守をおこないます。
「エンジニア」というと、Webエンジニア、システムエンジニア(SE)、サーバーサイドエンジニアなど、いろいろな呼ばれ方をしていますが、Webエンジニアは、Web上で提供されるシステムに特化した開発をおこなうことから、Webエンジニアと呼ばれています。
さらに、Webエンジニアと総称される職業の中には2種類のエンジニアがあります。
ユーザーに見える表側を構築するフロントエンドエンジニアと、ユーザーが見ることができない裏側を構築するバックエンドエンジニアです。
フロントエンドとは、Webサイトやアプリケーションの「目に見える部分」のことをさします。
たとえばショッピングサイトで会員登録をするとき、ユーザーは自分の氏名や生年月日、住所などを入力します。
この「ユーザーが直接触れる部分」がフロントエンドであり、フロントエンドエンジニアが作成するシステムです。
バックエンドとは、「目に見えない部分」をさします。
フロントエンドのシステムによって送られたユーザーの氏名や生年月日、住所などの情報は、ユーザーの目に見えない部分で処理されます。
バックエンドではフロントエンドから送られた情報を受けとり、目に見えない部分でデータベースに情報を登録したり、アカウント作成などの情報処理をおこないます。 この裏側のシステムを作成するのがバックエンドエンジニアです。
Webエンジニアの仕事内容について、フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニア、それぞれ見ていきましょう。
まず、Webサイト制作の“表側”に立つフロントエンドエンジニアのメインの業務はコーディングです。
加えて、ときにはクライアントの要望を叶えるWebサイトを構築するために適切な技術や構造を検討、提案することも。
誰かの指示のもと手を動かすという仕事の仕方ではなく、ときに疑問を抱き、考え、よりよい方向へと軌道修正を行うという重要な役割を担っています。
フロントエンドエンジニアは、HTMLやCSSといったマークアップを用いたコーディングに、JavaScriptなどのプログラミング言語を使った動的サイトの構築、オリジナルインターフェイスの作成まで行います。
さらにコーディングルールの策定から、コーディングディレクションまで担うこともあり、現場のまとめ役として活躍することも。
クライアントがWebサイトの管理・運営をより快適に行えるようにするための、CMSの構築からカスタマイズまで任されることも珍しくはありません。
さまざまな言語に関して幅広い知識を要し、コーディングに関する指揮を取り、さらにCMSの使い方までマスターするという、まさにWebサイトの“表側”に関連する業務の中枢となる存在だといえるでしょう。
Webサイトの裏側には、複雑な仕組みを構築する必要があります。
この仕組みによって、お問い合わせフォームから質問を送信したり、ECサイトでお買い物かごに商品を入れたり、商品を購入することで支払い手続きが完了し、商品が手元に届いたり...といったフローを完遂できるようになるのです。
この構築を行うのが、バックエンドエンジニアの仕事です。
バックエンドエンジニアは、データベースやサーバー側のシステム構築を行います。
サーバーがないとWebサイトをインターネット上に公開することができませんから、この業務は必要不可欠といえるでしょう。
また、Webサイトに掲載する情報のデータをバックグラウンドで管理するための、データベースの構築も業務の範囲です。
加えて、IDとパスワードを入力することでログインが完了する、フォームに入力した情報を送信するといった処理を正しく完了させるためのシステム開発や運用も行います。
ユーザーには見えない部分ですが、これらの機能は正しく安全に動作することがとても重要。
縁の下の力持ちとしてWebサイトを支えているのが、バックエンドエンジニアということです。
「求人ボックス 給料ナビ」が公開している「Webエンジニア」の平均年収は573万円でした。月給は48万円、初任給は22万円程度が相場とのことです。(2022年5月22日時点)
※データ引用元:「求人ボックス 給料ナビ Webエンジニアの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)」(https://求人ボックス.com/Webエンジニアの年収・時給)
ただし、こちらは正社員としてWebエンジニア職に就職した場合の平均年収の目安です。
未経験だったり年齢が若かったりするほど低く、年齢を重ねて経験を積むほど高くなっていくのが一般的です。
フロントエンドエンジニアの場合、コーディングから技術の提案、CMS構築まで網羅的に業務にあたれる人であれば、この平均値を越えた年収を手にすることも珍しくありません。
中には1,000万円超えの年収を獲得する人も。年収アップを狙いたければ、スキルアップを図ることが必須となるでしょう。
バックエンドエンジニアも、もちろん年齢やスキル、経験をもとに会社から評価を受けることができれば、もっと上のレベルを目指すことも難しくはありません。
システムやデータベースの構築が一人前にできるようになったら、ほかのエンジニアが担うべき業務の知識を増やすための勉強時間を作ってみてはいかがでしょうか。兼任することによって、さらなる年収アップを狙える可能性が出てきそうです。
Webエンジニアの仕事は、システムの設計や開発に留まりません。
作成したシステムを運用し、そのシステムの動作や処理が問題なくおこなわれているかを管理・保守するのもWebエンジニアの仕事です。
場合によってはWebエンジニアに求められるスキルはさらに広がり、デザインやコーディング、SEO対策やWebマーケティングの知識と実践が必要になることも。
これらすべてをひとりのWebエンジニアが担うことも珍しくなく、Webエンジニアには幅広い知識とスキルが求められます。
Webエンジニアの仕事は、経験を積むにつれ、できる仕事の幅がぐっと広がることも魅力のひとつといえるでしょう。
フロントエンドエンジニアの仕事は、まずはコーディングを着実にこなしていく地道な側面を持ちながら、ときには現状に疑問を抱き、適切な技術や構造を検討、提案するという現場を率いていくような側面も持ち合わせています。疑問を抱くためには、幅広い知識が必要です。
これらを踏まえると、フロントエンドエンジニアに向いている人は、コツコツと作業にあたれる人、そして勉強熱心で知識を増やしていくことが苦にならない人であるといえます。
加えて適切な案を提案するにあたっては、Webサイト制作の指揮を取るWebディレクターと連携したり、デザインの業務を担うWebデザイナーの相談を受けたりと、多職種との関わることも。
コミュニケーション能力にも難がなく、スムーズに業務をこなせる方に向いている職種でしょう。
バックエンドエンジニアが目指すゴールは、Webサイトが正しく動作し、ユーザーはもちろんクライアントにも不便をかけないシステムを構築することです。
答えに向かって着々と業務をこなし、万が一の不具合やエラーには迅速で対応できるような頭の回転と、素早い処理能力が必要となります。
また、サーバーの要件定義を行うにあたっては、そのWebサイト制作に必要なサーバーの台数や、スペックを検討する必要も。
これは要するに、まだまっさらでなにもないWebサイトの完成形を見越して作業を進めなければならないということです。
ゴールを明確化し、それに向けて着々と業務をこなせるひたむきな方こそ、バックエンドエンジニアに向いているといえるでしょう。
特に未経験からWebエンジニアを目指す場合には、まずスキルアップから図る方も少なくないのではないでしょうか。
最後に、Webエンジニアになるために必要となるスキルについてまとめました。
ここまで解説してきたとおり、Webエンジニアは多くのプログラミング言語を使い分けながら業務にあたります。
どの言語がなんの目的で使われるかを知っていることは大前提です。
加えて、やりたいことを叶えるのに適切な言語はなにか判断し、新しい技術が登場していないかアンテナを張り巡らせながら、無駄のないプログラミングを行えるスキルが必要になるといえるでしょう。
Webサイトを構築する上では、その時点での新しい技術や流行りのデザインを取り入れるのが一般的でしょう。
それはあくまでも一時的なもの。Web業界には常に新しい情報が流れ込んできますし、流行りも変わっていきます。
Webサイトは作って終わりではなく、ユーザーの目線で常に使いやすく、見やすくあるために更新していく必要があります。ユーザー目線に立つことを常に忘れないようにしてくださいね。
Webサイトは、ときに顧客のプライバシーに関わる情報を多く保有することがあります。その情報が漏れてしまえば、重大なインシデントとなる事態は避けられません。
Webエンジニアはプログラミングの際、セキュリティ対策には特に細心の注意を払いながら作業にあたる必要があるといえます。今後出てくる可能性のある新しい攻撃にも耐えられるよう、セキュリティ面を強固なものにするための情報収集と開発の手は、動かし続けることが重要です。
WebエンジニアはPCに向かって黙々と作業にあたるイメージが強いですが、意外とコミュニケーション能力も求められる職種です。
プログラミングにあたっては、要件定義や設計について、クライアントや社内のメンバーに説明する機会を設けることも珍しくありません。正しく、分かりやすく、相手に理解してもらえるように説明することを心がけ、認識のズレが起こらないようにしましょう。
Webエンジニアが携わる仕事は、いずれもWebサイトの全体に関わることです。
多職種との連携があってこそ完成する部分も大いにあるため、報連相を大切にしながら、Webサイト制作に関わるメンバーと協力する気持ちを常に持ち続けましょう。
なにかトラブルが発生した際にも、ひとりで解決しようとすることは危険です。
情報連携をし、ときには助け合いながら、質の高いWebサイト構築を目指してください。
2020年には、小学校でプログラミングが必修科目となりました。Webサイトの需要は今後も高まっていくと考えられますし、制作に携わるさまざまな職種にも仕事はあることでしょう。
よって、Webエンジニアの需要もどんどん高まっていくといえそうです。
とはいえ、クライアントがより高度かつ複雑なWebサイトを求めるとき、制作サイドの知識も豊富であるに越したことはありません。
フロントエンドとバックエンドは扱う言語が異なりますが、どちらの仕事もこなせるといった具合に、高スペックな人材であり続けることが、今後もWeb業界で市場価値の高い人材としてキャリアップしていく秘訣となるでしょう。
またWebエンジニアは、フリーランスとして働くことも、独立することも可能な職種です。
これまでWebエンジニアとして働いてきた方の中には、もっと自由に働きたい、独立して事業を成功させたいと考え始める方もいらっしゃることでしょう。
会社の中で頼られ、プロジェクトを任せてもらい、責任を持って業務を完遂することができるWebエンジニアであれば、次のステップとしてフリーランスや独立を選択してもよいかもしれません。
最後に、Webエンジニアになるために考えておきたいことや、就職活動・転職活動を進める際のポイントを解説します。
すでにWeb業界に勤めているという方であれば、現在の職種からWebエンジニアへのポジションチェンジが可能かどうかを考えてみましょう。
コーディングはフロントエンドエンジニアとして必ずできなければならない業務のひとつですから、Webコーダーがフロントエンドエンジニアにステップアップするチャンスは充分にあり得ます。
Webデザイナーは自身が作成したデザインがWeb上で表現できるかどうかを確かめるため、HTMLやCSSの知識を養うことがあります。これらの知識があればフロントエンドエンジニアを目指す第一歩へとつながることでしょう。
サーバーの技術に特化したサーバーサイドエンジニアとして活躍している人であれば、フロントエンドの技術を取得することでバックエンドとフロントエンドの仕事を兼務できるフルスタックエンジニアとして活躍できる可能性も。
ポジションチェンジは、すべてをゼロにする選択ではありません。これまで培ってきたノウハウを活かせるという大きなメリットがあります。
Webエンジニアの求人には、未経験OKをうたうものも多く存在します。とはいえ、本当に何も身についていない状態での採用は難しいでしょう。
いまは独学でプログラミング言語やコーディングを学べるスクールや書籍が充実していますから、まずは知識とスキルを備えましょう。
一人前のWebエンジニアになるためには、とにかく手を動かし知識を増やすよう努めましょう。
まずは未経験OKの会社から内定をもらい、学んだことを活かして実務経験を積むことで、着実に力を身につけていくことが重要です。
最初は戸惑うことが多かったり、先輩に質問を重ねてしまったりすることも多いかもしれませんが、誰しも最初は未経験からスタートします。
気負いせず、何事にも自らぶつかっていくことが、スキルアップの近道です。
今よりもっとできる業務領域を広げていきたい、上流工程からWeb制作にかかわりたい、といった考えを持たれたWebエンジニアの方が、Webディレクターへのジョブチェンジを考えるケースは多くあります。
Webディレクターの業務領域に、Webエンジニアの仕事の中で得た経験や知識が役立つ場面は非常に多くあり、例えば要件定義書を書く際や、クライアントからの要望を技術的な視点から実現可能なアイデアを出したり、よりよいサイト構造にするにはどうすればよいかのWebコンサルティングを提供する場面などです。
そうした知見を持つ人材を期待し、IT技術やWebエンジニアのスキルや知識を持った人を歓迎しているWeb制作会社や事業会社、Webディレクター求人は多く見かけますので、転職活動でも大いにアピールしていきましょう!
「Webサイト制作ってどう進めているの?」
「Webディレクターはどんな仕事をするの?」
これを読めばイメージが掴めます!
クライアントの課題解決のために、市場を分析、ターゲットを設定して企画を練り、コンテンツを創るWebディレクター。…と言われても、「Web制作がよくわからないから、いまいちイメージが湧かない!」という皆さんに、新人Webディレクターの一日を追いかけながら、Web制作の現場やWebディレクターの仕事の一部をご紹介します♪
さとゆり
前職はラジオディレクター兼ライター。Web業界未経験でWebディレクターになり丸1年♪ガッツと取材力が武器!