Webサイトで広告表現を行う際に、避けては通れないのが関連法規の順守です。
自社、クライアント、ユーザーの3者を守るためにも、そしてWebサイトの品質を守るためにも、法律を守った適切な広告表現ができているか、サイト公開前に隅々まで丁寧なチェックが必要です。
この記事では、Webディレクターが知っておきたい法律や規則についてまとめて紹介します。
目次
広告表現には個人や企業、消費者等を守るために、様々な規制やルールが存在します。
それはCMや看板・チラシなどだけではなく、Webサイトでも同様。Webサイトの制作を指揮するディレクターは、サイトの品質を管理するのも役目ですが、その管理すべき『品質』のひとつが、サイトの隅々まで関連法規を遵守したコンテンツ表現を実現することです。
下で紹介する「Webサイトを制作する際にチェックすべき関連法規(法律・規則)」の他にも、個人情報保護法や特定商取引法、古物営業法、不正競争防止法、不正アクセス禁止法など、制作するWebサイトによってはよく知っておきたい関連法規がたくさんあります。
知らなかったと言って法律を犯すWebサイトを制作してしまうと、自社はもちろん、クライアントにも大きな迷惑や損害を与えてしまうことになりかねませんので、サイト制作時には関連法規に則ってサイト内をきちんとチェックするようにしましょう。
Web広告やWebサイトの表現を考える際、Webディレクターが知っておきたい法律や規則をまとめました。
このほかにも制作するWebサイト内で訴求する商材や商品、業態や業種などによって関連法規は変わりますのでご注意ください。
景品表示法は「景表法」とも略される法律で、消費者を「虚偽の広告」から守るためのものです。
嘘や大げさな表現などで消費者をだますような広告を禁止しており、商品やサービスを広告するWebサイトであれば景表法はかならず適用範囲内となります。
景表法は大きくわけて「有利誤認」と「優良誤認」の2種類の広告表現を規制するものです。
有利誤認とは、価格や取引条件などについて嘘をついたり、都合の悪い情報を隠したりするなど、他と比べて故意に自社が有利となるように見せる表現です。
優良誤認は、商品やサービスの品質や規格など、様々な内容を「実際より良いものに見せる」広告表現のこと。根拠をあいまいにしたり、事実を膨らませて書いたりしてはいけません。
例えば、「最大」「最安」「NO.1」などの「最上級表現」は、かならず根拠(調査方法等)を掲載しなくてはいけません。
ユーザーの誤解を招く表現や表示になっていないか、Web広告を制作する際には注意しましょう。
小説、音楽、絵画、地図、アニメ、漫画、映画、写真等、思想や感情を表現した作品を創作した人の権利を守る法律。
適用範囲は、この世界で発表されたすべての著作物です。
海外で発表された作品であろうと子どもが制作したものであろうと、著作権はその取得のために特別な手続きは必要とされておらず、この世に著作物を発表した瞬間『誰にでも』発生する権利なのです。
この著作物をどう利用するかは、著作権を有する人のみが権利を有しています。そのため、Webサイトのコンテンツに勝手に他人の著作物を使用すると、著作権の侵害に当たり、刑事上の罰則の対象となります。(「一部加工」もダメ!) 具体的には使用の差し止め、記事の削除、Webサイトの閉鎖、損害賠償請求などに発展する可能性がありますので、十分気を付けましょう。
肖像権には、個人のプライバシーを守る「プライバシー権」と、著名人の商品価値を守る「パブリシティ権」の2種類があります。
プライバシー権の適用範囲はすべての人であり、各人が自身のプライバシー権を守るためにあります。無断で容姿を撮影されたり、その写真や動画を勝手に公開されたりしないように主張できる権利です。
パブリシティ権は、芸能人やスポーツ選手、文化人や政治家など、著名人が対象です。著名人にはその名前と肖像自体に経済的利益を生む価値があります。
それを無断で第三者に使用させないようにするための権利です。
こちらは写真や映像だけでなく、似顔絵にも効力が発揮されますので、コンテンツ作成時には注意しましょう。
このパブリシティ権は、著名人が出演するCMやWebサイトであっても、その出演・掲載期間やその範囲に制限をかけることができるものなので、例えばあるコンテンツで著名人に取材したからと言って、サイト上のあちこちに自由に写真を使っていいよというものではありません。
またいかなる人でも、本人の許可なく個人を特定できる写真をWebサイトに掲載するのもNGです。
商標権は、商品やサービスのネーミングやロゴを保護する権利です。
適用範囲は特許庁に登録された商標すべてが対象です。例えば、社名、サービス名、商品名、ロゴ、イメージキャラクターなどですね。
著作権と違い、商標権は特許庁に登録されて初めて発生する権利です。
しかし、一度登録されれば著作権と同じく、他人が無断で使用した場合には「商標権侵害」で処罰の対象になる場合があります。
商標法第78条によると、商標権を侵害した場合は10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金。商標権の侵害とみなされる行為であった場合でも、5年以下の懲役または500万円以下の罰金と、重い罰則が規定されています。
Webサイト制作で商標権抵触するケースとしては、例えば無断でお店や商品のロゴマークを掲載したり、既存の有名キャラクターによく似たキャラクターをサイト内で登場させたり。これらはNGです。
また、オリンピックロゴやディズニー、Appleなどに関しては、ロゴ単体を掲載したわけではなく、商品の中に映り込んだ状態であっても、引用元先から取り下げ要請がある場合もあります。
海外ブランドやサービスに関するロゴやキャラクターの掲載や映り込みは十分注意が必要です。
2018年6月1日に厚生労働省から施行されたガイドラインで、正式名称は「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」です。
病院やクリニックなどの医療機関の広告に対する規制を示した内容です。
元はチラシや看板等の医療広告表現だけが規制の対象で、ホームページは除外されていたのですが、医療機関のホームぺージに訪れたユーザーや患者の誤解を招くような広告表現を規制するため、新たに内容が見直されました。
そのため、医療機関の情報を掲載するWebサイトはもちろん、医療機関のホームページやLP制作を請け負う場合でも、確認が必要なガイドラインです。
正式な法律名は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」。
2014年11月25日「薬事法」が改正され、法律の一部が改正された際に、こちらの名称も改変されました。「医薬品医療機器等法」や「薬機法」と略されて呼ばれることがほとんどです。
薬機法は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器、再生医療等の製品の品質と有効性や安全性を確保する目的のために、製造・表示・販売・流通・広告などに関して定められたルールです。
医薬品や美容グッズ、コスメなど、上記に該当するクライアントや商材、サービスに関連するWebサイトを制作する際には必ず意識し、守らなくてはいけない法律なので、注意しましょう。
「国民の健康の増進を図るための措置を講じ、 国民保健の向上を図るための法律」。
国民の健康向上のために、健康調査、保健指導、施設、健康商材など、国民の健康サポートとなるもの全てに関係してくる法律です。近年では受動喫煙の防止に関する条項も盛り込まれました。
健康増進法と薬機法によって、健康食品等の広告表現における虚偽・誇大表示が規制されているので、健康食品をはじめ、特定保健用食品や、機能性表示食品、ビタミン剤などの栄養機能食品の効能をWebサイトに記載する際など、その表現の範囲に気をつけなければいけない法律です。
当メディアを制作・運営する「全研本社」のWebコンテンツマーケティング部門では、延べ1300サイト近いメディアを開発・運用しています。(2021/6期時点)
そしてこの部門に所属するメンバーは全員必ず、社内の関連法規研修を受けることになっています。
Webサイトを制作する上でマストとなる法律の知識。「個々人で勉強しておいてね!」ではなく、きちんと全員が一定の必要知識と自信を持ってサイトづくりに臨める仕組みが整っています。
だから、「法律なんて、いったい何をどこから勉強すればいいかわからない…」というWebディレクター志望の方も、大丈夫ですよ^^
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さとゆり
前職はラジオディレクター兼ライター。Web業界未経験でWebディレクターになり丸1年♪ガッツと取材力が武器!