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コンセプト・企画・戦略設計

制作するWebサイトの企画・コンセプトや戦略設計に関してWebディレクターはどのような役割を果たすのか、どんな点に注意して作業を進めたらいいのかといったポイントを紹介します。

目次

Web制作における
「コンセプト」とは?

Web制作におけるコンセプトとは、「制作するWebサイトが、誰に対して何を伝えたいのか」を明確にする言葉。サイトテーマや訴求内容とも呼ばれることがあります。
新規サイトの制作はもちろん、サイトのリニューアルを行う際にも決定します。
クライアントからコンセプトを提示されることもありますが、一般的にはWebディレクターやプランナーが中心となって決めていくことになります。

なぜコンセプトが必要?

Webサイトのコンセプトは、「制作するWebサイトの柱」。
これに沿ってすべてのデザイン・コンテンツなどを制作していくため、最初にコンセプトをキッチリ固めておくことは非常に重要なプロセスです。

コンセプトは、そのサイトが何を目的としているかを明確にするもの。この目的が明確にならないと、「CV獲得数」「企業認知度の向上」「売上アップ」といったサイトに期待する効果をうまく得られなくなります。
また、コンセプトがないとサイト制作に関わるメンバー間で共通の認識が持てなくなるのも問題です。目指す方向性がバラバラになり、まとまりがなく訴求力の低いサイトが出来上がる恐れがあります。

こういったトラブルを避けるためにも、1つの共通認識となるコンセプトが必要なのです。
コンセプトがあれば目指すゴールがハッキリし、メンバーが一丸となって作業を進められるようになります。

コンセプトはどうやってつくるの?

では、Webサイトのコンセプト設計はどうやって進めたらいいのでしょうか。
よいコンセプトを作るためにも、作成方法の手順を押さえておきましょう。

「なんのためのサイト?」を
5W1Hで明確にする

Webサイトのコンセプトを決める際には、5W1H(What・Why・Who・When・Where・How)の要素で考えていくと◎。
これに沿ってコンセプトを追求していくと、必要な要素の取りこぼしを防止することができます。

What(何を)=目的

PV向上・売上アップ・ブランディング・問い合わせ数の向上など、Webサイトの目的・意義を明確にします。
Webサイトでは、課題を抱えたユーザーに有用なコンテンツを提供する必要があります。それを導き出すためには、目的の把握が第一です。

Why(なぜ)=意義

ユーザーがなぜサイトを利用するのかを考え、制作するWebサイトの意義を見出します。
考え方としては目的(What)と非常に近いため、一緒に考えると良いでしょう。

Who(誰が)

Webサイトを利用するのは誰なのか、というターゲット像を設定します。これが具体的であるほどコンセプトも明確となるため、できればペルソナを設定することをおすすめします。
ペルソナとは、提供するサービス・商品にとっての象徴となる架空のユーザー像です。

When(いつ)

ユーザーがいつWebサイトを利用するのかを考慮します。
季節・曜日・シチュエーション、何時くらいに多く閲覧されるのかも把握しておくと良いでしょう。

Where(どこで)

ユーザーがどこでWebサイトを利用するのかを想定しましょう。
自宅・会社・ネットカフェ・電車の中など、Webサイトを閲覧できる環境にはいろいろあります。ユーザーの利用状況に合ったWebサイトを構築するためにも、必要な要素です。

How(どうやって)

ユーザーがどのようにWebサイトを利用するのか、その環境を考えます。
サイトを閲覧できるデバイスにはPC・スマホ・タブレットなどがありますが、その種類によってWebサイトの構造・コンテンツ・デザインは大きく変わってくるからです。

認識を共有できるように
「ひとこと」でまとめよう

Webサイトのコンセプトとは、「そのサイトが価値提供するものは何か」を表す20字の言葉。
コンセプトを決めるために5W1Hでいろいろと考えてきましたが、最終的には分かりやすく「ひとこと」でまとめるのが正解です。長々としたコンセプトより端的なコンセプトの方が認識のズレが起こりにくく、目的意識もまとまりやすくなります。

企画はどのように立てるべき?

コンセプトが無事に決定したら、それを実現するための企画・戦略設計に入ります。企画を立てるときは、以下の点に気をつけながら作業を進めましょう。

ターゲットユーザーの課題は?

ターゲットとは、Webサイトを利用して欲しい人のこと。
彼らがどのような課題や悩みを持っているかを明確にすることで、Webサイトに必要なコンテンツや構成、適切なデザインをスムーズに検討できるようになります。

課題の解決方法は?

ターゲットの課題を解決するには、どのようなコンテンツを用意したらいいのかを考えます。
ここからはターゲットの視点をベースに作業を行いますが、予算・スケジュール・技術面といった部分を考慮することもWebディレクターとしては重要です。

ライバルのサイトとの差別化は?

ライバルサイトに打ち勝つには、手がけるWebサイトならではの強みを見出すことが大切。見出した強みを前面に押し出し、ユーザーの心にインパクトを与えることを考えましょう。
この力が弱いと、ライバルサイトとの差別化は難しくなります。

企画・アイデアの出し方

企画を立てるには、良いアイデアが必要です。ここではチームでアイデアを出し合うブレスト(ブレインストーミング)という技法について紹介します。
ブレストの進行はWebディレクターの役割なので、流れをしっかりと把握しておきましょう。

ブレストのテーマを決める

まず、ブレストを通してどんなアイデアが欲しいのか、具体的なテーマを決めます。
テーマが決まったら、自分でそのテーマに沿ったアイデアをいくつか考えてみましょう。そこでうまくイメージできない場合は、テーマの設定をやり直した方がよいです。

最終的なゴールを決める

ブレストの最終的なゴールを決めておきます。
そのブレストが「コンテンツを考えるための幅広いアイデアを集める」ものなのか、「すぐ企画にできるくらい精度の高いアイデアを求める」ものなのかで、参加するメンバーのモチベーションも変わってきます。

出たアイデアを発展させる

ブレストで出たアイデアについては、参加メンバー全員でディスカッションを行います。
複数のアイデアを組み合わせたり、部分的に変更したりするなど工夫を重ね、アイデアをどんどん発展させていきましょう。これまでにない、新しいアイデアが生まれるキッカケとなります。

コンセプト・企画設計の
ポイントと注意点

コンセプトが曖昧なままWebサイトを制作すると、いざ完成してから、どのような目的で作ったWebサイトだったか道を見失うことに繋がりかねません。
企画や戦略設計もしっかり作っておかないと、ターゲットユーザーの課題を解決できないWebサイトが完成してしまいます。

このように質の高いWebサイトを制作するうえで、コンセプトや企画、戦略設計は非常に重要です。
続いては、Webサイト制作の肝ともいえるコンセプト・企画設計に役立つ書籍を、2冊紹介します。

『コンセプトメイキング
変化の時代の発想法』

本書は大手広告代理店である博報堂で制作部長を務めた経験がある、高橋宣行氏著

企業として独自のコンセプトを生み出すことは、競合他社に打ち勝つためにも、長く業界で生き残り続けるためにもとても重要です。
とはいえ、独自のコンセプトを生み出すのはとても難しいのも事実。
頭をフル回転させて生み出した革新的なコンセプトだと思っても、冷静になってみるとありきたりなものに見えるというのは、よくあることなのです。

本書で示すのは、素晴らしい企画設計と大きな結果に繋がるコンセプトの作り方。
揺るぎない、ブレないコンセプトを作るためにはなにをすればよいのか、どう考えればよいのかが解説されています。

加えて、高橋氏が手がけた86ものコンセプト事例も紹介。リッツ・カールトンにスターバックス、ユニクロなど、誰しも知る名前がずらりと並んでおり、圧巻です。
誰にも真似できないような、唯一無二のコンセプトを生み出したい方なら、一度目を通しておいて損のない1冊だといえるでしょう。

タイトルコンセプトメイキング 変化の時代の発想法
基本情報高橋 宣行 (著) │ ディスカヴァー・トゥエンティワン│発売日:2007/11/15
URLhttps://www.amazon.co.jp/dp/4887595905

『コンセプトのつくり方
たとえば商品開発にも役立つ
電通の発想法』

こちらの著者は、同じく日本の大手広告代理店である電通のクリエイティブコンサルタント、山田壮夫氏です。
本書では常識を覆すようなコンセプトを作る際に役立つ、思考の方法論が説かれています。

144ページという薄い本の中には、コンセプト作りの核となる思考が満載
これから初めてコンセプト作りに挑戦するWebディレクターだけでなく、コンセプト作りに躓いている中堅以降のWebディレクターにも、一読の価値ありです。

本書の表現は、一見優しく書かれているように見えながらも、内容はどれもすぐには実践が難しいものばかり。
しかし、Webディレクターとして革新的なコンセプトを生み出すためには、何度も挑戦し挫折しながら、ノウハウを蓄積していくことがとても大切です。

自分の作ったコンセプトに自信を持てないときにも、答え合わせのような感覚で本書を開いてみてはいかがでしょうか。
自分の考え方が正しいか否か…、答えはこの1冊にあるかもしれませんよ。

タイトルコンセプトのつくり方 たとえば商品開発にも役立つ電通の発想法
基本情報山田壮夫 (著) │朝日新聞出版│発売日:2016/3/7
URLhttps://www.amazon.co.jp/dp/4023314846

Webディレクターは常に
コンセプトを意識して!

Web制作はコンセプトに沿って行うことが重要ですが、チームの目的意識がブレないよう、全体を把握して現場を牽引していくのがWebディレクター。
Webディレクターが常にコンセプトを意識し続けることでコンテンツの方向性が揃い、ユーザーに伝えたいことがしっかり伝わるWebサイトが完成するのです。
質の高いサイトを作るためにも、Webディレクターがコンセプトを見失う……なんてことがないようにしましょう。

Point
【ひとこと】ZenkenのWebディレクターが実践する
「コンセプト・企画設計」とは?

当メディア「ディレタマ」をはじめ、数多くのWebサイト制作を担うZenkenのWebディレクターたちは、Webサイト制作着手にあたり、どういったペルソナに対してどのようなストーリーを描くか、ユーザーの課題解決をどのように導くか?などを戦略として考えます。
市場調査とヒアリングで市場の情報や、ペルソナを通したユーザーの態度変容をふまえた上で、コンセプトと企画設計を行います。

ZenkenのWebサイト制作では、どんなに小規模なプロジェクトでも最低5名以上が関わって協業します。
多くのメンバーが関わるプロジェクトだからこそ、コンセプトという共通認識を掲げることが、クライアントも含めチームが一丸となってゴールに向かう秘訣ともいえるでしょう。

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新人Webディレクター

さとゆり

前職はラジオディレクター兼ライター。Web業界未経験でWebディレクターになり丸1年♪ガッツと取材力が武器!

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